りんスポ人物伝 第一回 ロバさん(小杉スケート)
記念すべき第一回「りんスポ人物伝」でとりあげさせていただく人物は、大方の予想をくつがえす意表をつく人選!
臨海スポーツセンターだけでなく西日本地区のスケーター誰もがお世話になっている小杉スケート臨海店のロバさんこと田山 裕士さんです。
スケート靴にはエッジと言う刃がついていますが、練習しているうちにすりへってくるので、それを研ぎなおす必要があります。その靴の研磨のスペシャリストがロバさんなのです。
毒舌を吐きつつも大量の靴を正確な技術で研磨し、時々店を留守にしてまでも!?暖かい目でスケーターたちを見守ってくださっているロバさんですが、ホントはいったいどんな方なんでしょうか?
本名 田山 裕士(たやま ひろし)さん
1960(昭和35)年2月14日
バレンタインデー生まれ
大阪府出身
小杉スケート臨海店 販売責任者
日本が誇るスケート靴研磨職人・・・なのに気さくで人望を集めている。
このインタビューは2009年6月に行われたものです。
――記念すべき第一回のインタビューなのでよろしくお願いします。
はいはい(笑顔)。
――やっぱりこの質問から。ロバさんはなぜ今の仕事につかれたのですか?
祖父(大阪スケート倶楽部初代会長・日本スケート連盟元副会長)と父(関西商事株式会社元専務)が代々スケートにかかわっていて、靴のメンテナンスもやっていた。自分もそのうちスケートが好きになり、スケートにかかわる仕事がしたいと思ってこの仕事を選んだんや。
――靴の研磨の技術というのはどうやって習得されたのですか?
もちろん父さんから技術を学んだが、マニュアルなどもない中、スケートの先生や選手と一緒に試行錯誤しながらずっとやってきた。ある意味今でも技術を追求している途中やな。
――マイスターらしい含蓄のあるおことばですね。いったい多いときでどのくらいの靴を研ぐのですか?
多いときで30足くらい(試合前には店にずらっと順番待ちの靴が並びます)。一番遅いときで夜中の1時までかかったことがある。
――日本でロバさんのようなスケート靴の研磨職人の方は何人くらいいらしゃるのですか?
たぶん数人くらい。生徒のエッジをスケートの先生が研ぐことも多い。
オレが今まで他の人が研いだ靴を見てすごいと思ったのは、新横浜の佐藤信夫先生(※1)だけ。
(※1)世界フィギュアスケート選手権2008年出場の中野友加里選手、2009年出場の小塚崇彦選手らを指導するコーチ。
――へええ、そうなんですか。佐藤先生の著書の「君なら翔べる!」(双葉社)にも試行錯誤してエッジを研磨される話が載ってましたね。そんなロバさんにとって、エッジの研磨で一番難しいことはなんでしょうか?
ホッケーに関しては難しいことはない。一番気を使うのは、フィギュアの初心者の小さい子。習い始めた小さい子はどんなエッジの状態が正しいのかわからないから、きちんとエッジに乗らせてあげるように研ぐのが難しい。
――なるほど~(深く感心)。何年もやっている選手のほうが調整が大変なのかと思ってました。
――ところでロバさんは数々の国際試合のオフィシャルシャープナーとして活躍されてますね。
まず2000年に大阪であった四大陸選手権(※2)。2002年に長野であった世界選手権(※3)。この時はヤグディンにサインもらった!(うれしそう)。
そして2003年の青森アジア大会(※4)。これは女子で表彰台を日本女子が独占して感動したなあ。国際大会で日本人が1位から3位ってことは珍しいから。日の丸3つが揚がった時あれは感動した。
(※2)2000年四大陸フィギュアスケート選手権は大阪プールで行われ、優勝は、男子はエルビス・ストイコ(カナダ)選手、女子はアンジェラ・ニコディノフ選手(アメリカ)、ペアはサレー&ペルティエ組(カナダ)、アイスダンスはラング&チェルニシェフ組。
(※3)2002年世界フィギュアスケート選手権はソルトレークシティオリンピックの直後に長野で行われ、優勝は、男子はロバさんがサインをもらったアレクセイ・ヤグディン(ロシア)選手、女子はイリーナ・スルツカヤ選手(ロシア)、ペアは申雪&趙宏博組(中国)、アイスダンスはロバチェワ&アベルブフ組。
(※4)2003年アジア冬季競技大会は青森で行われ、女子は荒川静香選手・.村主章枝選手・中野友加里の日本代表3人が表彰台を独占し、ロバさんを感激させました。
――ロバさんはお仕事をされていて、今まで一番うれしかったことはなんでしょうか。
ゆっち(臨海で練習している吉田行宏選手)がトリプルアクセル跳べたこと!
――おお、それは支援の会としてもうれしいです!ゆっちもがんばってますし、みんなも励みになります。では大阪人のロバさん、今度はみんなが期待している爆笑エピソードを教えてください。
おお、あるで!
日本を代表するフィギュアスケーター○○○○選手がメッセージをつけて店にスケート靴を預けていったんやけど、そのメッセージに「研磨お顔いします」って書いてたこと!
――あー、やりそうな感じですねえ(汗)。それは彼が若い時の話ですか?
いや大学生になってからの話。
――うっ、この話載せていいんですか!
載せてええで(きっぱり)。イニシャル○選手で!
――・・・ありがとうございます(汗)。でもイニシャル出すとバレバレなので。伏字にさせていただきます(大汗)。
ところでお仕事以外のロバさんに迫ってみましょう。ゴルフ大好きというお話も聞きますが、最近はまっていることは?
(即答)Wii Fit!最近買ったのでうれしい!あ、この似顔絵Wii Fitで作ったんやけど、オレに似てるらしい(とホントにうれしそうに携帯を取り出す)。
――ところでロバさんご自身はスケートされるんですか?そういえば滑っておられるところ見たことがないんですが。
オレはスケート経験皆無!
――まさか!
ホントに皆無やって。スケート歴がないのに靴を研ぐ仕事をしているんだから、人の倍の努力をしてきたわけやから、その辺をわかってほしいな!!!
――臨海は昨年廃止されるかもしれないという時期がありましたが、ロバさんはどういう思いでおられましたか?
オレはラサ(国際スケートリンク)からはじまってたくさんの関西のリンクが閉鎖されるのを見てきたからなあ。一番強烈だったのは、仕事に行ったら閉鎖の紙が貼られていたリンクがあったことやなあ。でも今まで廃止案が出ていて廃止にならなかったリンクは臨海が初めてだった。
――その臨海で練習している子供たちに望むことはありますか?
もっともっと真剣に練習してほしい!
そして靴をもっと大事にしてほしい。靴はスケーターにとって唯一の道具だから。もし試合の時にコスチュームを忘れてもとりあえず試合には出られるけど、靴は人に借りられない。ロッカーに入れっぱなしにするなんてもってのほかで、毎日持って帰ってチェックしてほしい。ねじはゆるんでないか、ひもは大丈夫か、ちゃんと自分でチェックして大切に手入れするように。
――最後にロバさんの夢をお聞かせください。
やっぱり臨海から、全日本チャンピオン、世界選手権やオリンピックに出場する選手が出てほしい。それが夢。
――あの~みんなが一番知りたいことなんですが、ロバさんはなぜロバさんなんですか?
それはすべて謎にしといて!あ、ちなみにロバ歴は30年だから。それだけ言うとくわ。
――・・・やっぱり謎のまま終わりました(苦笑)。お忙しい中本当にありがとうございました。でも、ロバさんに研磨の話とかまだまだお聞きしたいので、またこのコーナーに登場していただくかもしれないです。
ええっ!?
支援の会より
支援の会全員がお世話になっているといっても過言ではないロバさん、本当にありがとうございました。ロバさんのお話はとても面白いのですが、過激すぎてとても活字にはできないお話もたくさんあり、すべてをみなさまにご披露できなくて残念!でもいつも明るいロバさんですが、靴を大事にしてほしいというお話の時の真剣な表情が印象的でした。どうかこれからも臨海のスケーターたちを見守ってやってください。
「スケート靴・用品の販売一筋」 小杉スケート臨海店
大阪府立臨海スポーツセンター内
Tel 072-269-6305 Fax 072-632-6305
定休日・木曜日
営業時間・午後2時~午後10時
お菓子も売ってます!
なお、ロバさんは毎日お店にいるわけではありません。
「ロバさんはお客さんがいない時間などに何をしたらいいのか適切に指示をしてくれる、僕にとってはスケートの大阪の父であり母です。(小杉スケートアルバイトIくんより)」
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